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お墓の基礎知識Elementary Knowledge

お墓や法要等についての説明・解説と、霊園や寺院墓地・墓石についての知識、また一般常識や法要のマナーなど知っておきたい情報を掲載しておりますので、是非ご活用ください。

10.石碑以外の部材

石碑以外にもお墓の部材はいろいろあり、墓地の大きさや宗派によって必要な物もございます。

各部材の説明

石棺・納骨所(カロート)について

石棺とは墓石の下を石で四方に囲み、お骨を納めるところを指します。関西では底を塞がずに新しい土を入れ、お骨が土にかえりやすくされています。
石棺の別名はカロートとよばれ、カロートの語源は「カラウド」(唐櫃)で、「死者を葬る棺」という意味です。

石碑の基礎的な性格から従来はコンクリートで施工していましたが、耐久年数や強度的に問題があるので、一番大事なお骨を守るところとの認識により現在では白御影石などで施工します。

石棺(カロート)

巻石(外柵)について

巻石は外柵の一種で、現世と来世(浄土)をわける結界の意味と、他の墓地との境界としての役割、そして地盤沈下や石碑の傾きを防ぐ機能があり、また石碑の足元および周辺の土の流失を防ぐため土が安定します。
形は大きく分け、地付きと舞台式があり、同じ舞台式でも和式と洋式により、デザインが異なります。
また最近では、角の内側にL字型の金具を設置して巻石の開き防止加工を行っています。

一般的に巻石は、宗教的な意味合いが少ない部材でもあり、価格の面から最近は外国産(特に中国産)のものがよく使われます。和型の場合、石碑の石によく似た色合いや目合いのものを使います。
関西では、大島石に色合いや目合いが似ている中国産のAG98やG623がよく使われています。

なお、石碑が中国産の場合は、予算が許せば、巻石は「共石(ともいし=石碑と同じ石)」にするほうが、全体的に統一感が出て、おすすめです。

巻石(和型)巻石(デザイン型)

須浜・玉垣について

外柵の一種で、巻石の上に設置して、墓所を囲みます。
玉垣も宗教的な意味合いが少ない部材でもあり、価格の面から最近は外国産(特に中国産)のものがよく使われます。

一般的には、4聖地以上の墓地で設置することが多く、それ以下の比較的小さめの墓所が好まれる昨今ではかなり墓所内が狭苦しく感じることもあり、また比較的外れやすく、10年に1回位の割合で定期的に補修する必要もあることから、最近では設置する人は比較的少なめですが、6聖地以上あるような広めの墓所では、須浜・玉垣があるほうが高級感があり、また墓相学において玉垣は重要な役割があり、たいてい設置するように指導されるようです。

巻石(和型)巻石(デザイン型)

芝台について

主に石碑の高さを高くするのに、石碑の一番下に1段増やして入れる石を指します。石碑の下に芝台を入れることで、約15センチ程度背を高くすることができます。
また、芝台を入れると背が高くなるだけでなく、石碑の底辺の面積が広がり、石碑にやや迫力もでてきます。加えて納骨所の高さも大きくとれ、納骨スペースが広がります。
ただし宗教的な意味合いはあまりなく、単なる石碑の座布団のようなものです。なお見た目は芝台も石碑の一部とみなされることから、石碑と同じ石を使うのが一般的です。

芝台四ツ石

霊標(墓誌)について※クリックすると詳細へ移動します。

故人の名前や戒名を刻むための部材です。仏式の場合は霊標(浄土真宗の場合は法名碑と呼びます)その他キリスト教や神道といった仏教以外の場合は、墓誌と呼ぶことが多いようです。
霊標には、墓石と同じように和型と呼ばれる形があり、石碑と同じ石種を使うのが一般的です。(洋型の場合も大抵石碑と同じ石を使っています)
なお、和型の場合、表面に10人・裏面に12人程度名前を刻むの「10体割」が一般的で、希望に応じて「8体割」や「12体割」にしたりもします。したがって、3代前くらいからのご先祖様のお名前を刻みたい場合には、霊標を設置したほうがよいでしょう。
また、通常仏式の場合、新仏様の戒名を追加彫刻する際、石塔本体に彫刻する際は、お寺様に墓前で「お性根抜き」して頂いてから彫刻工事にかかるという流れが一般的ですが(浄土真宗のお寺様は「お性根抜き不要」とおっしゃる方がほとんどです)、霊標の場合は基本的に「部材」なので、「お性根抜き不要」となり、手間が少なくなるのもメリットのひとつです。

霊標(墓誌)

蓮華台について

蓮華台も仏式の場合に使用する部材です。蓮の花を形どった台の上に、仏様のたましいが入っているとも言われる、神聖な仏石を鎮座させるための台で、仏石(棹石)と上台の間に入れて、主に石碑の高さを高くするために使用します。昔は猫足台や丸布団といった部材が、この蓮華台と同じ役目をしていました。基本的には、周りの家と差別化するために使っていたようですが、結局のところ、隣の墓所で蓮華台を入れると、たいていは自分のところが低くなるのは嫌がるため、連鎖的に周りにも広がっていくようです。
上蓮華台スリン台蓮華台
一般的には、蓮華台というと上蓮華を指しますが、より豪華に見せるために、上台の上部に蓮華台と同様の蓮の花模様を彫刻して、上下蓮華にする場合もあります。(当然ながら、加工が多いためお値段も上がります)
また、蓮華台も石碑の一部に取り付けますので、基本的には石碑と同じ石を使用します。
下蓮華台上下蓮華台

灯篭について

灯篭は一説によると、「真っ暗やみのあの世で、仏様が道に迷わないように、足元を照らしてあげるために設置するもの」という意味合いのものですが、仏式と神式の和型墓石の場合に設置されることが多い部材で、仏式では丸型・神式では角型がよく使われます。近年では墓所の狭小化もあって、灯篭ではなくコンパクトな防風灯(ロウソク立て)がよく使われています。

灯篭の種類としては、石の墓前灯篭が主流で、6聖地以上の広目の墓所では石製の墓前灯篭が、2聖地〜4聖地程度の広さの墓所では、雪見灯籠が多く見られます。
丸型墓前灯籠角型墓前灯籠防風灯

水子地蔵について

仏式の場合に設置される部材で、墓所の狭小化が進む近年では、設置しないケースも多いですが、戦後すぐ位までは、たいていどこの家でも水子さんがあったとのことから、昭和40年代〜昭和60年代の墓所ではよく目にします。

宗旨によって若干違いはありますが、多くは「○○家水子一切」といった感じで供養するケースが多いですが、中には乳飲み子くらいの子供さんの供養碑としているケースもあります。また、墓相のお墓では、大抵水子地蔵が設置されています。
なお、浄土真宗の場合、水子地蔵は不要とおっしゃるお寺様も多いので、設置を検討の際にはお寺様に確認したほうが無難です。
水子地蔵

経机について

経机は、その名の通りお経本を置くための机を形作ったものですので、基本的に仏式のお墓で使用されます。お参りの際は経机の前にひざまついて手を合わせて、お経をあげるのが本来の姿であるものですが、経机も近年の墓所の狭小化によってスペースがなくなり、設置する人は少ないようです。

6聖地以上あれば、経机を置くと少し豪華に感じられ、また熱心な仏教徒という感じもして、特に本家筋の方には、分家との差別化部材としておすすめです。
一般的には経机も、石碑と同じ石種にするほうが統一感が出ますが、たいていは同じ石種の等級が低いものか、石碑と石目・色合いが似た外国産の石を使うことが多いです。
経机

塔婆立てについて※クリックすると詳細へ移動します。

塔婆立ても仏式の場合に使用するもので、寺院境内墓地の場合は特に納骨の際や年忌の墓前供養の際に塔婆供養することも多く、設置しておくと便利です。(ただし、浄土真宗では塔婆供養しませんので不要です。)

石製のものとステンレス製のものとがありますが、ステンレス製のものは支柱が細いため、あまり場所を取らずに済むことから、小さな墓所でよく使用されています。
塔婆立

植木について

昭和の頃までの墓所を見てみると、結構ツゲやツツジといった植栽を目にしますが、基本的に墓所内に植木をするのは、あまりおすすめできません。というのも、植木の根が原因で囲石が外れたり、石碑が傾いたり、ひどいケースだと隣の墓所の囲石にまで影響を与えているものもあります。(隣の墓所まで補修することになるケースもあります。)
よって、墓所内には植木鉢やプランターを置く程度にしたほうが無難でしょう。(近年では、洋型やデザイン墓で、外柵の一部に植木鉢がおけるようになっているデザインのものもあります。)

物置石について

名前の通り、手荷物などを置くための石です。一般的には緑色の自然石のものをよく目にします。お墓には以外と物を置く場所がなく、あると重宝します。
特にお参りの際に、お墓にしっかりお水をかける方は、物置石があると手荷物などが濡れなくてすみますし、4聖地以上の墓所の場合は、墓所内のアクセントにもなります。
物置台物置石

玉砂利・土について

雑草が生えるのを防止するためや雨の時の泥ハネを防ぐために、墓所に玉砂利を敷き詰めている場合が多いです。
関西の場合、黒系の玉砂利をよく目にしますが、中にはカラフルな「五色」や清楚なイメージの「白玉」もあります。

玉砂利も、基本的には地域柄や流行りがあるようですが、白系の石はコケや汚れが目立ちやすく、五色は色合いに落ち着き感がないので、また黒系でも大磯は、粒が小さいので量が多くなりがちなので、黒系の「那智黒」がおすすめですが、現在那智黒は希少のため採石が少なくなり価格が上ってきました。

また、玉砂利の大きさについては、「3分玉」(幅3センチ程度の大きさのもの)が、敷きつめたときの雰囲気もよく、よくつかわれています。(那智黒に限らず、五色や白玉の場合でも3分玉がよく使われています)。
ちなみに、玉砂利を敷くときの厚みも3センチ程度にすると、足も取られにくく、雑草が生える隙間も開きにくく、ちょうどよい感じになります。

なお、浄土真宗のお寺様の中には、墓所の中は玉砂利を敷きつめずに、土のままにしておくように指導されることもあります。 また、墓相のお墓も玉砂利は敷かずに赤土を入れるように、と指導されることが多いようです。
玉砂利(化粧砂利)

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